本 『帝国日本のプロパガンダ』 7/23

『帝国日本のプロパガンダ』 7/23

日清戦争の錦絵から、戦後のGHQ言論統制まで、公に流通するメディアによる日本おプロパガンダの通史。ページ数も少なく、それほど情報量も多いわけではなかったが、気軽に読めて、それぞれのプロパンガの特徴と、通史としての流れを抑えられる本。

そして、日本と戦っていた清、帝政ロシア、中国、ヨーロッパでの対日プロパガンダにも少し触れていて、比較文化としても読める。

メディアによるプロパガンダは、当局による強制性とメディア自身による自発性の両方を見なければならないことも通史を見るとわかってくる。

戦時中などの国家緊急時には特に、当局による強制や誘導はあるのだが、プロパガンダが発展するのはそれだけでは説明がつかない。それだけではなく、民衆の求める気持ち・高揚感と、それに訴えることで、商業的に稼げるメディア側の思いもあるのだ。朝日新聞満州関東軍批判から一転、満州権益保護を訴えるようになる変節には、商業的動機があることは指摘される。また、太平洋戦争やGHQ統治時代になると自主規制の体制も整えられる。